ブックタイトル20130111-0107デジタル保存版

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20130111-0107デジタル保存版

編集部ウォッチ 2012年秋以降の同人誌界は、「黒子のバスケ」の脅迫事件に揺れていた。 「黒子のバスケ」とは、『週刊少年ジャンプ』に連載中の、高校のバスケットボール部を描くスポーツマンガである。これまでに発刊された全20巻のコミックの販売累計部数は1400万部。2012年4月から9月までアニメ化され放映されており、昨年12月には第2期の制作が発表されている。 事件は、2012年10月21日、原作者・藤巻忠俊の母校である上智大学の体育館に、致死量を上まわる硫化水素入りの容器と脅迫状が発見されたことに端を発し、それ以降、都内だけでも50カ所以上に脅迫状が届いたという[2012年12月26日・産経新聞]。「コミケ」の会場側は主催者側に、今後の会場利用の調整が厳しくなることを示唆しつつ、「黒子のバスケ」関連サークルの出展見合せと全サークルでの同作品関連頒布物の頒布中止を要請し、主催者側はしぶしぶそれを了承した。 「コミケ」参加者たちによる「黒子のバスケ」に対する支持には、世間一般での「ONE PIECE」の人気をも上回るものがあるということだ。「黒子のバスケ」関連の同人ブースの数は、前回の約100サークルから今回、約900サークルにまで増加していたのだが、不参加を余儀なくされた。参加費の返金や警備の強化などにより、主催者側の損害は1000万円を超えると報道されている[同年12月24日・産経新聞]。※※※ 同人誌研究家の三崎尚人は、2012年の同人誌界を振り返る文章の中で、「多量の脅迫状等物証が残されていること、10月12日と26日の2度にわたり、犯人とおぼしき人物が2ちゃんねるに書き込んでいることから、犯人逮捕はさほど難しくないのでは? という世評もあったが、捜査は長引いている。また、『黒子』という作品がヒット作品ではあっても世間的な知名度が高くなく(『ワンピース』や『ナルト』であれば違った対応になったとは複数のマスコミ関係者が証言している)、中止になったイベントも、マンガ・アニメの世界に留まるものであることもあって、表現の自由に対するテロ行為にも関わらず、マスコミの反応は鈍い」と総括している(永山薫・佐藤圭亮、奈良原士郎編著『マンガ論争8』)。 三崎が指摘するとおりに、「マンガ・アニメの世界に留まる」から当局やマスコミの動きが鈍いというような事態は、断じてあってはならない。▼「黒子のバスケ」脅迫事件、「コミケ」に大きな影響及ぼす掲載内容の無断転載、転用禁止。内容は日本の著作権法及び国際条約によって保護を受けています。Copyright(C)2013 Vision Search Inc. All Rights Reserved.※東京ビッグサイト 日本最大の同人誌即売会「コミックマーケット(コミケ)」が2012年12月29日から31日までの3日間、東京都江東区有明の東京ビッグサイトにおいて開催された。今回の「コミケ83」への入場者数は、主催者発表によれば3日間で計55万人にのぼり、例年であれば夏開催のものに比べ出足の鈍る冬の「コミケ」なのだが、今回は夏に迫る入場者数となった。 参加した同人サークルの数は、3日間合計で3万4924(開催前の確定値)。1996年より本格的にスタートした企業ブースの人気は回を重ねるごとに高まっている印象を受ける。主催者のブログには、参加を希望する企業の出展枠を獲得するための抽選合格率は約6割と、同人サークルの抽選率より厳しくなっていると書き込まれている。人気作品の「コミケ」限定グッズを購入しようと行列のできる企業ブースの数が増えてきており、今回では待ち時間が3時間を超える企業ブースも見かけた。 「コミケ83」の企業ブースでは、ニコニコ動画が初出展し、注目を集めていた。また、日本テレビも初参加しており、『週刊少年ジャンプ』に連載され、2011年よりアニメ放映されている「HUNTER×HUNTER」などのグッズを販売していた。 今回より参加サークルを紹介する「カタログ」のWEB版が試験的に無料で導入された。「コミケ」の「カタログ」はすでに百科事典並みのサイズにまで大きくなっていたことから歓迎された。スマホでも簡単に検索できるようになれば、より利便性がアップするだろう。 ただ今回の「コミケ」では、下の「編集部ウォッチ」において詳述するように「黒子のバスケ」に関する脅迫事件が暗い影を落としていた。