ブックタイトル20121130-1126デジタル保存版

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20121130-1126デジタル保存版

パチンコメーカー座談会1覆面in名古屋名古屋駅太閤口側の個室居酒屋に、名古屋に開発と製造の拠点を置くパチンコメーカー3社の開発と営業の担当者にお集まりいただき、座談会を開催した。記事にはするが、会社名や個人名を出さない“覆面”座談会として記事にするという条件で、自由にお話いただいた。本紙がこのスタイルでの取材を実施するのは、パチスロメーカー4社の関係者に東京・上野へお集まりいただいた本年2月の取材以来、2回目である。話題は多岐にわたったのだが、集中して議論されたのは、京楽「ぱちんこAKB48」と、三洋「海物語」シリーズについてであった。本稿では前者のテーマを、明日付けでは後者のテーマを中心に、座談会の内容を編集して掲載する。パチンコでは、2012年最大のヒット機は「ぱちんこAKB48」となりました。社内では「AKB48」ということばが“NGワード”となりました。過去の一時期、「北斗の拳」がそうだったことを思い出しました。版権がすごいので、スペックは何でも売れたでしょう。もしマックスタイプで出していたら、25万台は売れたんじゃないかな。そして演出をもっとちゃんと作り込んでいたら、いまの稼働はもっとよかったはずです。ただ、第1種プラス第2種の混合機で成功させたという実績は、パチンコメーカーにとって意味のあることでした。また、ライトミドルタイプをパチンコのボリュームゾーンとした功績もあります。「AKB」という版権については、“取りにいった”というよりも“育てた”という印象ですね。お金だけじゃなく、それを育てあげる政治力を持っていることにあこがれます。京楽資本が入っていなかったら、「AKB」はそもそもここまで売れていなかったでしょう。ただウチがもし、「AKB」を使わせてもらったとしたら、曲は3曲まで、メンバーの実写は5人まで…なんてことになっていたかもしれません。これまでパチンコを打たなかったけど、「ぱちんこAKB」だから打っているというユーザーが確かに多く存在しているようです。ただそのような「AKB」ファンは、ほかのパチンコは打たないんですね。また、SISのデータを眺めていると、「AKB」登場後にパチスロの稼働が落ち込んでいて、かなりのパチスロユーザーも「AKB」に流れたことがわかります。「AKB」だったら、勝てるだろうと。業界人として、パチンコは「ビックリマンチョコ」の「チョコ」になってしまったのだなと思いました。シール(「AKB」)だけが必要とされていて、チョコ(パチンコ)の部分は、実は必要とされていないのではないか。パチンコメーカーはこれから2極化していくのではないかと思っています。豊富な資金を使って、自由に使える版権を育てていくメーカーと、オリジナルのコンテンツで勝負するメーカーとです。後者を選んだメーカーには、パチンコのたのしさとは何なのか、という問いがあらためて突きつけられることになります。この2極化は、プレイステーションとニンテンドーのたどった道程と重ね合わせることができそうです。プレイステーションのグラフィックが極限まで緻密になったときに、ニンテンドーはゲームとしてのおもしろさを、まったく違うところに求めました。京楽の開発体制の強みは、開発のプロセスに、その場の勢いやノリが入り込むところです。最初は時短機として開発していたけど、途中でST機に変更したと聞きました。「水戸黄門」で「八兵衛」のシステムがよかったから、次からも入れろと、別の開発チームに上から指令がくだる。このようなことは、京楽が非上場メーカーだからできることなのでしょう。上場メーカーには、株主に約束した計画があり目標があります。たとえば「ヱヴァ」は年に1回出さなきゃいけないとか…。“遊び”を作っているのに、計画性は不似合いだと思います。昔のパチンコメーカーはみんな、ノリで作っていたようなイメージがあり、その空気を京楽はまだ保っている印象です。ただ「ぱちんこAKB」にパチンコ機としての新規性は見い出せません。結局「版権」あっての機械かな、と。「AKB」が成功したので、199のスペックで作れと上や営業は言ってきますが、50%のV入賞口を持つ「AKB」は、199×(かける)50%で、「RUSH」に突入する確率はマックスタイプ並なんですね。普通の199のスペックをファンが求めているわけじゃない。「AKB」のスペックだと、出るときは出る。玉箱が積まれていたら、視覚効果的なもので、ファンは打つんです。王道スペックは事実上、もう無くなっています。みんな変則スペックになっている。その変化にホールの機械選定者がついてこれていない。ホールの機械選定者の世代交代がすすんで、全体的に若くなっています。この人たちは残念ながら、機械のことがまったくと言っていいほどわかっていない。そして導入前に機械を打たない。展示会でも見本機を5分か10分、ちょこちょこっと打つ程度。高い買い物をするのだから、もう少し機械をちゃんと見たら、と思わずにはいられません。だから、コンサル系のひとが書いたブログが、よく参照されます。ただこの人たちのブログにもひどいものが多く、見てもいないのに「ダメだ」と書く。ホールはメーカーに、稼働が長く持つ機械を作れと言いますが、機械を生かすも殺すも、それはホール次第でしょう。昔は初期稼働がよかったら甘く使うのが礼儀でした。いまはラッキーとばかりに一層抜くことが当たり前となっています。メーカーは、愛を持って機械を作っています。買っていただけるのなら、機械に愛を感じてほしい。いまは機械を女性にたとえると「抱き放題、捨て放題」。愛を持って抱いてほしいということです。掲載内容の無断転載、転用禁止。内容は日本の著作権法及び国際条約によって保護を受けています。Copyright(C)2011けています。Copyright(C)2012 Vision Search Inc. All Rights Reserved.