ブックタイトル20120615-0611デジタル保存版

ページ
30/62

このページは 20120615-0611デジタル保存版 の電子ブックに掲載されている30ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

20120615-0611デジタル保存版

c o n t r i b u t i o n2012年06月13日(水曜日)6/10レジャー・パチンコ産業考3「パチンコ業界に関連する出版物1」【寄稿】徳島文理大学講師鍛冶博之氏前回の連載(2012年5月14日付)では、パチンコ業界による日本社会全般への情報提供の不十分さについて言及した。業界健全化を推進するパチンコ業界の現状と、パチンコ業界に対して生活者が抱いている現状認識が必ずしも一致しておらず、そのことが今日もなお、生活者の多くがパチンコ業界に対して、旧態依然のイメージを抱きつづける一要因となっている。その対策のひとつとして、業界関係者への情報提供だけでなく、パチンコにそれほど関心を抱いていない生活者に対する積極的な情報公開を進め、パチンコの社会イメージの改善と向上に努めることの重要性を指摘した。さて、パチンコ業界の現状を正しく知ってもらう有効な手段のひとつが、メディアの活用であることは言うまでもない。特に生活者が日常生活でしばしば接触するメディア(例えばテレビ・ラジオ・携帯電話・書籍・新聞・雑誌)を利用して、パチンコ業界が一丸となった統一的な情報戦略の構築が今後ますます重要になるだろう。そこで今回は、生活者がパチンコ業界の実態を知るうえで重要なメディアである出版物(書籍・雑誌・論文)に注目してみよう。パチンコ業界について執筆された出版物を繙くことで、パチンコ業界の過去と現在をある程度把握できる。それにより生活者は、パチンコ業界に対する現状を捉え直すことになるかもしれない。ーマとするものである。これを内容別に分類すると、1パチンコ業界の政策の変遷を明らかにするもの、2遊技機(パチンコ機・パチスロ機)の変遷を明らかにするもの、3パチンコ業界の発展に貢献した人物を取り上げるものがある。これらはいずれも、史実を整理して羅列的に記述するものが多い。第三に、個別のパチンコホール企業の活動に着目し、その革新的な企業活動の実態を明らかにすることをテーマとするものである。これは、昨今のパチンコ業界の健全化を主導的に牽引する代表的企業(例えば、株式会社マルハンや株式会社ダイナム等)の活動を、インタビューなどを交え紹介している。さらに、各パチンコホール企業の経営者の社会化の過程や、彼らを取り巻く仲間集団やヒューマンネットワークなどを紹介している。第四に、ホール企業経営のノウハウを紹介することをテーマとするものである。これはいわゆる「ハウツー本」(実務書)としての側面が強く、執筆された時点でパチンコ業界が必要とするホール企業経営の手法を、多分野にわたって記述しまとめている。第五に、パチンコ業界が長年にわたって構造的に抱えるマイナス面に言及するものである。これらは、パチンコ業界と官僚・警察組織との緊密な関係、暴力団に代表される反社会的組織との関係、脱税や海外流出などパチンコ関連資金の流動、換金システムの合法/非合法性などのテーマがしばしば取り上げられ、それらの実態が暴露され続けている。第六に、パチンコ依存症(ギャンブル依存症)に関して、その実態と対策を考察することをテーマとするものである。これは依存症の実例、他の依存症(例えばアルコール依存症)との比較、具体的な対処方法について言及し、パチンコ依存症の現状被害・課題・対策について分析している。最近ではさらに踏み込んで、依存症問題を誘発し生活者の日常生活を破綻させかねないパチンコの全面的廃止を強力に主張する書籍も出版されている。第七に、パチンコを代表的な日本文化の一端として捉えて考察することをテーマとするものである。パチンコが日本人の代表的レジャーとして戦後に確立された点に着目し、日本を代表する文化としてパチンコを観察し、日本人との関わりを論じたものである。第八に、在日社会とパチンコ業界との関連を論じることをテーマとするものである。在日韓国朝鮮人が形成する社会システムとパチンコ業界との関連に注目した研究論文が多数発表されている。第九に、パチンコを題材とした物語・詩・エッセイである。パチンコが日本文化の一側面を表象するものであるゆえ、遊技経験をもつ生活者それぞれが抱くパチンコへの様々な思いが執筆される。この種の文献も多数存在する。第十に、遊技機の攻略法に関して執筆されたものである。いわゆる攻略本のことである。この種の書籍や雑誌が、パチンコ業界関連の出版物の中で最多である。次回は、上記の分類を参考にして、筆者の主張点をまとめることにする。では、パチンコ業界について執筆された出版物にはどのようなものがあるだろうか。10項目に分類して紹介しよう。第一に、パチンコ業界全体を概観することをテーマとしたものである。これらは、執筆された時期のパチンコ業界全般の状況をまとめ、同時期の業界の実態について、代表的なパチンコ関連企業の活動事例を取り上げて紹介するケースが多い。第二に、パチンコの歴史の解明をテ寄稿者profile徳島文理大学で講師を務める鍛冶博之氏は、パチンコを研究テーマとしている数少ない研究者である。大学では学生を相手に経済学やマーケティング論の講義を担当するかたわらで、これまで社会科学の分野における研究対象として記述されることのほとんどなかったパチンコ業界についての出来事史、およびその背後にある社会的経済的要因、そしてそこから抽出されるセオリーを、論文としてまとめ、発表してきた。専攻は、「パチンコ産業史」である。掲載内容の無断転載、転用禁止。内容は日本の著作権法及び国際条約によって保護を受けています。Copyright(C)2012 Vision Search Inc. All Rights Reserved.