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20120210-0206デジタル保存版

c o n t r i b u t i o n2012年02月06日(月曜日)7/11野田政権で消費税アップに加速ホールの消費税の「基礎知識」と10%に上昇した場合の「対応策」3【寄稿】税理士・公認会計士李起昇氏【返済資金がショートする】消費税は粗利の消費税額から販管費の消費税額などを差し引いて求めます。下の損益計算書は一番左の列が税込みです。消費税は計算していません。これを消費税率5%で税抜き計算すると営業利益は「23.81」となり、10%で税抜き計算すると「18.18」になります。消費税額の方は5%の時は「6.19」ですが、10%になると「11.82」になります。損益計算書は増加した消費税額分、営業利益が減少しています。消費税額は倍まで行っていませんが、税率が倍になったら、消費税も倍になると理解しておいた方が無難でしょう。なお、粗利の消費税は税抜きを基準とする時は「314.29×5%=15.71」あるいは「300×10%=30.0」です。機械代は「95.24×5%=4.76」あるいは「90.91×10%=9.09」です。税込みを基準とする場合は、掛ける元の数字に消費税が含まれているので、「330×5/105=15.71」で計算します。計算しようとする損益計算書が税込みか税抜きかで、消費税の計算式が変わります。しかし当然の事ながら、結果は同じになります。消費税率の増加は、使える金が減る、ということを意味します。ですから、今まで利息や銀行返済に回していた資金を、消費税の支払いに回さなければならなくなります。下手すりゃ倒産です。「外税処理しているから大丈夫」などといえる状況ではないのです。【受難の始まり】ヨーロッパの高福祉国家の消費税(正確には付加価値税)率は25%です。日本も北欧ほどではありませんが、かなりの高福祉国家です。となると、今度の消費税率の引き上げは、25%に向けた始まり、と見るべきでしょう。今回は10%ですが、いずれは25%になります。そう思っておいた方がいいでしょう。粗利に対する消費税の負担率は、事例では5%のときに約1.97%、10%の時に3.94%です。20%、25%では更に上昇します。つまりは粗利を30%取ったとしても、その内の何%かは消費税として除いておかなければならないということです。会社によりこの割合は異なりますが、割合の違いだけで、計算の構造は同じです。こうしたことを念頭に置いて、経営をしていかなければなりません。消費税率が上がれば上がるほど、パチンコ屋さんが使えるお金はどんどん少なくなります。そしてその少なくなったお金で会社を回さなければならなくなるのです。【市場規模縮小~倒産増加】消費税率が上がれば、使えるお金が減り、銀行への返済ができなくなりますから、その分粗利を増やすほかないでしょう。そうせざるを得ないお店が大半だと思います。そうなると、玉の出が悪くなりますから、客は減ります。客が減ると、少ない客から粗利を稼がなければなりませんから、さらに玉の出が悪くなる、という悪循環が起こるでしょう。やがて資金がつづかなくなった会社が手を挙げ、それが1社2社と増えていき、市場から退出する会社の数と、減少したお客の数が釣り合ったところで、この業界は安定するでしょう。そうなるまでに何社減少するのかは、わかりませんが、多くの会社がこの業界から去るだろうという予測はできます。生き残る側に回るためには、消費税率が引き上げられるまでに少しでも財務状況を強化させ、今と同じ出玉水準を維持しても資金が回るようにしておかなければなりません。そのためには正確な損益計算書と、資金繰り表が必要になります。釘調節と同じように、管理部門でも正確な数値管理ができるようにならなければなりません。そしてバランスの取れた経営をしなければなりません。大会社は公認会計士の監査を受けていますから、数字の専門家が内部にいないと対処できません。ですから数字のバランスはきちんと取っているはずです。問題は中規模より小さい会社です。小さな会社では、数字がきちんと読める人が内部にいるのはレアケースでしょうから、バランスを崩している可能性が、より高くなります。【小が大を食う時代】どんな会社でも数字のバランスが壊れれば倒産します。売上が大きくても関係ありません。バランスが取れているかどうかが重要なのです。中堅以下の会社では倒れるところが出てくるでしょう。この時、財務状況のいい会社が、銀行やファンドと組んで、倒れたところを丸ごと引き受けるという可能性も出てくるでしょう。買い取ったお店のうち、良い店は残し、他はスクラップにします。スクラップした店舗は節税に使えます。規模の大小ではなく、数字のバランスが取れたところが、バランスの壊れた会社を合併することが可能になってきます。うがった言い方をすると、「小が大を食うチャンスがやってくる」のです。重要なのはバランスです。売上が多いと威張っているようでは、会社は危うい限りです。消費税率が上がるというのは、すべての企業にとって同じ条件です。それをチャンスにできるか、あるいは災難としてしまうかは、ひとえに現在の財務諸表がまともかどうかによります。数字が読めず、バランスを崩してしまう、あるいは崩れていることに気がついていないところは、規模の大小に拘わらず、危うい会社です。今なすべきは、自社の財務諸表のバランスが取れているかどうかを確認することです。現状確認ができたら、対策を立てることです。対策を立てたら実践するのみです。(完)掲載内容の無断転載、転用禁止。内容は日本の著作権法及び国際条約によって保護を受けています。Copyright(C)2012 Vision Search Inc. All Rights Reserved.